抄録
本研究では熱膨張係数の差による残留圧縮応力を薄膜に印加し、面外方向に結晶格子を歪ませて強誘電特性を向上させることを目的として、デバイス応用可能なシリコン基板上に下部電極としてニッケル酸ランタン(以下LNOと略す)を化学溶液法(CSD法)で、BTOをスパッタリング法で製膜した。BTO薄膜の微構造は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて解析した。結果として、作製した試料のXRDパターンより、Si基板上に作製したLNO電極薄膜は(100)方向に優先配向し、LNO/Si上に作製したBTO薄膜は (001)方向に優先配向していることが分かった。また、断面TEM観察の結果から、BTO薄膜は緻密でLNO下部電極薄膜はポーラス構造であることが分かった。