抄録
CaAlSiN3:Eu2+の出発原料にSiCを少量添加することで[Ca0.99 Eu2+0.01][Al1-xSi1+x]N3-xCx (0 ≤ x ≤ 0.6)の作製に成功した。Ca3N2, AlN, Si3N4, SiC, EuNを窒素ガスで満たしたグローブボックス中で秤量、混合し、得られた粉末をBNるつぼに入れ、窒素ガス10気圧中で1600 ℃で2時間加熱した後、さらに1800 ℃で4時間加熱して目的物を得た。得られた試料の構成元素の定量を行ったところカーボンが検出され、[Ca0.99Eu2+0.01]AlSiN3の陰イオン席にカーボンを固溶させることに成功したと判断した。PLスペクトルと量子効率では、カーボン固溶の有無による顕著な変化はなかった。しかし拡散反射スペクトルは長波長側が異なっており、CaAlSiN3:Eu2+にカーボンを固溶させると、発光の再吸収を効果的に抑制できることが示された。