ガラス融液の熱起電力は工業的にも学術的にも興味深い特性ではあるが、報告例は極めて少ない。そこで本研究では、ケイ酸塩ガラス融液を電解質とし、電極に白金を用いた電池の熱起電力測定を行った。測定された熱起電力の絶対値はln(Th/Tl)に対してほぼ直線的に増大した。また、得られた熱起電力は、荷電キャリアの熱拡散に基づく熱起電力の計算値と比べて、大きいことが分かった。この原因の一つに、白金の電極電位の温度依存性が挙げられる。そこで、雰囲気中の酸素分圧を変えて熱起電力測定を行った。その結果、熱起電力は、酸素分圧の低下と共に増大し、酸素溶解反応による白金電極電位もケイ酸塩ガラス融液の熱起電力に影響を与えるといえる。