抄録
多様な結晶相をもつ酸化鉄系材料は、幅広い用途に利用されており、その応用のために、構造制御を目的とした研究が数多くなされてきた。本研究では、塩化鉄を出発原料として、相分離誘起剤として働くポリアクリルアミド(PAAm)共存下、プロピレンオキシドをゲル化誘起剤として用いるゾル-ゲル法によって、バルク状の酸化鉄多孔体を作製し、その物性を評価した。適切量のPAAmを添加して、水酸化物等の析出を抑制しつつ自発的相分離を誘起することで、整った共連続構造を持つバルク状のキセロゲルが得られた。得られたキセロゲルはXRD的に無定形であったが、不活性雰囲気下での熱処理によってFe3O4、Fe、Fe3C等の結晶相が得られた。