抄録
LSGMは電極材料との反応性が高いため、単セルの開発では電極/電解質界面反応を抑制することが重要な開発指針である。我々は燃料極/電解質界面に鉄系ペロブスカイト酸化物を導入することで、単セルの発電特性が向上することを見いだした。これまでの研究で、界面導入層にはSF単体よりも、燃料極材料と混合した方が高い発電特性が得られること、および界面導入層におけるSFとNiO-SDCの混合割合には最適値があり、18~30 mass%SFの場合に最も高い発電特性が得られることが示されている。Ni-SDC/LSGM/SSC単セルの燃料極/電解質界面のさらなる最適化のためには、界面導入層のSF混合割合だけでなく、界面導入層の厚さの制御も重要な因子であると考えられる。そこで本研究では、界面導入層の組成を25 mass%SFに固定し、単セル発電特性に及ぼす25 mass%SF界面導入層の厚さの影響を調べた。その結果、発電特性は界面導入層の厚さに依存して、1.5~2倍変化することが分かり、界面導入層の厚さを制御することは高い発電特性を得るための重要な因子であることを示している。図から、最適な値は界面導入層の重さ約1 mg (約10 μm)であることが分かった。