日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
2012年年会講演予稿集
セッションID: 3D19
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液相法によるリチウムイオン伝導性Li7La3Zr2O12薄膜の作製
*江川 洋美忠永 清治林 晃敏辰巳砂 昌弘マリオ アパリシオアリシア デュラン
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キーワード: LLZ, 固体電解質, 薄膜, 溶液法
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抄録
【緒言】 次世代のシートデバイスを実現する上で、その電源もまた薄膜として形成される必要があることから、薄膜電池は非常に重要な部材である。従来の二次電池では、有機電解液が用いられているために、液漏れや短絡による発火の可能性などの安全性に対する懸念がある。従って、液漏れの心配がなく、安全性、信頼性に優れた固体電解質を用いた薄膜リチウム電池の開発が望まれる。  固体電解質として、ガーネット型構造を有するリチウムイオン伝導性酸化物、その中でも特にLi7La3Zr2O12(LLZ)が近年注目を集めている。典型的な作製法は、1000℃以上で高温焼結する固相法であるが、低温化を目指してペチーニ法やゾルーゲル法等の溶液法の検討が進められている。しかしながら、何れもペレット成形を目的としたバルク体の報告のみである。 そこで、本研究では、薄膜電池への適用を目指して、溶液法によるLLZ薄膜の作製を検討した。 【実験】 出発原料としてLiNO3、La(NO3)3・6H2O、Zr(OC3H7)4、焼結助剤としてAl(NO3)3・9H2O、安定化剤としてEAcAcを用いて、これらの1-プロパノール混合溶液をコーティング溶液とした。ディップコーティング法による塗布と450℃仮焼成を複数回繰り返して、MgO単結晶基板上に薄膜を形成し、最後に900℃で焼結を行い、電解質薄膜を得た。 【結果】  得られた仮焼成膜を大気雰囲気下で900℃焼結すると、リチウム欠損が生じて、La2Zr2O7結晶が析出した。そこで、Li2CO3粉末共存下で焼結したところ、高リチウム伝導性を示す高温相である立方晶LLZを析出させることが出来た。断面SEM観察から、得られた薄膜は、膜厚約800nmの比較的緻密な膜であることがわかった。 【謝辞】 本研究は、JSTによる日本スペイン戦略的国際科学技術協力推進事業による援助を受けて行った。
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©  日本セラミックス協会 2012
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