抄録
チタン酸ナノチューブ(TNTs)は直径5-10 nm、長さ数100 nm、チューブ構造を持つ材料である。このような特殊なナノ構造を持つため、光触媒、太陽電池、電界放出、ガスセンサーなど広範な応用が期待されている。一般的にTNTsはアナターゼもしくはルチルのTiO2粉末を水熱処理することにより作製される。この場合TNTsは1本1本が毛玉のようにお互いが絡み合い、粉末として得られる。TNTsを高効率のデバイスとして用いるためには、お互いが絡み合わず、配向したTNTs薄膜の作製が望まれる。本研究では出発原料としてゾル-ゲル法で作製したアモルファス薄膜を用いることで基板に垂直に配向したTNTsの作製に初めて成功した。また水熱条件のNaOH濃度を変えることによりナノシートからナノチューブへの形態変化も調べられた。