抄録
ナノサイズの蛍光体は、バイオセンサーやバイオイメージングなどの材料への応用が期待されている。従来のドープ型ナノ蛍光プローブは、希土類としてEu3+・Tb3+イオン等がドープされており、紫外線を励起源とするものが主である。一方で、Er3+・Nd3+イオンをドープすることにより、生体システムへのダメージが少ない近赤外励起で、可視発光や近赤外発光を得ることができる。本実験では、Nd3+をドープした層状ぺロブスカイト酸化物の剥離により近赤外発光ナノシートの合成を行った。結果としてK2La2-xNdxTi3O10・KLa1-xNdxNb2O7の両方を励起光808nmにおける近赤外領域での発光を測定したところ、その発光強度はKLa1-xNdxNb2O7の方が強く見られた。しかし、これらの発光は出発物質やプロトン交換体などに比較すると非常に弱い。これは水分子による消光によるものだと考えられるため、表面修飾による発光特性の制御について検討した。