抄録
岩塩型SnP 2O7結晶はSn(4価)の一部を3価カチオンで置換することで,300℃付近で10-1 S/cm程度の極めて高いプロトン伝導性を示す。しかしその一方でSnP2O7は難焼結性で焼結密度が90%程度と低く,燃料ガスである水素や酸素ガスがSnP2O7をリークしてしまう問題点がある。本研究グループでは,これまでにSnP2O7を単相析出させた新しいプロトン伝導性結晶化ガラスの作製に成功している。ガラス由来の成形性,耐久性に加えガスリークなどの見られない緻密体であることを確認している。今回3価カチオンとしてAl3+およびIn3+に注目して,結晶化ガラスの作製と電気特性について調査を行った。Sn/P比によって,プロトンのみを伝導するものからプロトン/電子混合伝導性を示すものまで制御可能であることを見出したので合わせて報告する。