抄録
持久性競技者の運動パフォーマンスを最大化するためにはエネルギー源となる炭水化物の補給が重要である。炭水化物摂取不足は肝や筋の貯蔵グリコーゲンの枯渇を招き、運動パフォーマンスにも影響を及ぼす。近年の研究では、運動前の大量の炭水化物摂取により運動誘発性低血糖が生じることが報告されているが、インスリン分泌能や体力レベルなどの個人差が影響することも指摘されている。さらに、一時的な血糖値の低下が運動パフォーマンスへ及ぼす影響については一貫した見解が得られていない。また、持久性競技者は日常的に強度の高い運動を長時間実施していることや、炭水化物を多く含む飲食物を頻繁に摂取していることから、特異的な代謝特性を示すことが考えられる。以上を踏まえると、持久性競技者では個人の代謝特性や体力レベル、運動の実施タイミングなどを考慮した個別の炭水化物補給戦略が重要であると考えられる。本項では、我々が実施した持久性競技者を対象とした研究で得られた間質液中グルコース濃度のデータを紹介しながら、持久性競技者における運動時の炭水化物摂取について、摂取タイミングの観点から解説したい。