日本PDA学術誌 GMPとバリデーション
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研究報告
自動テスト機能のない高圧蒸気滅菌器において真空リークテストを行う方法の開発とその有用性
上寺 祐之大原 信介三村 芳和大林 俊彦小森 千鶴斎藤 祐平熊田 直人
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2005 年 7 巻 2 号 p. 146-149

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抄録
近年, 真空式高圧蒸気滅菌器の管理にBowie-Dickテストが用いられるようになった。英国基準であるHTM2010はBowie-Dickテストが不合格になったときには真空リークテストを行うことを推奨している。真空リークテストを用いるとBowie-Dickテストが不合格になるおもな機械的原因である真空ポンプの機能低下と缶体内への空気漏れの有無を評価できる。ところが, 当手術部に設置された真空式高圧蒸気滅菌器には真空リークテストを行うための自動テスト機能が組み込まれていない。そこで, 真空リークテストを用手的操作を用いて行う方法を開発し, その有用性を検討した。真空リークテストはHTM2010にしたがって行った。対象とした滅菌器においてBowie-Dickテストが不合格になったときに真空リークテストを用手的操作を用いて行った。真空ポンプの機能を示す真空度は164.3mbar absolute, 真空リーク速度は0.10mbar/minであった。HTM2010では真空度は70mbar absolute以下, 真空リーク速度は1.3mbar/min以下であると規定しているので, 真空ポンプの機能低下が疑われた。真空ポンプを交換したところ, Bowie-Dickテストは合格した。さらに, 再施行した真空リークテストもHTM2010の規定を満たした。また, 機能低下した真空ポンプを分解したところ, 錆びによる腐食劣化が広範に認められた。腐食劣化の原因は現在, 調査中である。われわれが開発した, 真空リークテストを用手的操作を用いて行う方法は有用であるとともに, Bowie-Dickテストが不合格になった真空式高圧蒸気滅菌器の修理において有用であることが示唆された。
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© 2005 日本PDA製薬学会
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