Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
透析患者のHelicobacter pylori感染診断における13C-尿素呼気試験の問題点
松久 威史山田 宣孝岡本 富美子岡本 明彦
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2008 年 73 巻 2 号 p. 66-70

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抄録
 Helicobacter pyloriH. pylori)感染診断法の1つである組織鏡検法は,非透析患者において頻用されている。しかし,透析患者は血栓予防のため低用量アスピリン,抗血小板薬を内服しており非侵襲的な診断法が望ましい。そこで,透析患者のH. pylori感染診断に13C-尿素呼気試験(Urea breath test : UBT)が有用かどうかを検討した。対象とした透析患者は27例,平均年齢66.8歳,平均透析期間3年1カ月である。非透析成人におけるユービットを用いた13C-UBTのcut-off値は2.5‰(20分値)である。H. pylori陽性透析例(10例)のΔ13CO2 20分値は透析日58.9‰,翌日40.6‰,翌々日58.3‰,H. pylori陰性例(17例)のそれは4.0‰,6.2‰,8.5‰であった。透析日の感度は90.0%,特異度は58.8%,一致率は70.4%,翌日の感度は100.0%,特異度は70.6%,一致率は81.5%,翌々日の感度は100.0%,特異度は70.6%,一致率は81.5%を示し,特異度,一致率が低かった。これは,H. pylori陰性例において,ウレアーゼ活性を有する胃内常在菌により,13C-UBT開始直後のΔ13CO2濃度が急上昇するためと考えられた。更に,H. pylori陽性例のΔ13CO2濃度低値例の存在も影響していると思われた。そこで,H. pylori陽性例,陰性例のΔ13CO2濃度オーバーラップが比較的少ない値より,透析患者に有用な13C-UBT cut-off値を算出した。その結果,透析日の13C-UBT開始10分後のΔ13CO2濃度に基づくreceiver operating characteristic(ROC)曲線より,cut-off値は5.0‰となった。非透析成人のcut-off値(2.5‰)を用いるよりも感度,特異度,一致率は良好であったが(それぞれ90.0%,88.2%,88.9%),組織鏡検法に比し劣っていた。
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© 2008 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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