抄録
症例は59歳男性で,平成元年5月(56歳時)に下痢,血便が出現し,近医にて潰瘍性大腸炎(左側型)と診断された。以後当院にて経過観察していたが,平成2年10月(57歳時)に視力低下を訴え,当院眼科にて両側乳頭炎の診断を受け,入院加療を行った。今回われわれは,上記のように潰瘍性大腸炎の経過中に両側乳頭炎を合併した症例を経験した。文献的には,潰瘍性大腸炎の眼合併症の報告は大部分がブドウ膜炎であり,視神経乳頭炎の報告は極めて少なく,眼病変と大腸病変の活動性に関しては,一定の見解が得られていない。本症例の場合も,内視鏡的には慢性活動型で,症状の増悪はなく,視神経乳頭炎を発症した。