抄録
患者は67歳女性。軟便と便秘を繰り返すため,大腸内視鏡を施行したところ,上行結腸に径4mmの半球状ポリープを2個,S状結腸に径4mmの半球状ポリープを認め摘除したが,いずれも腺腫であった。さらに直腸中部に径7mmの球状ポリープを認めた。ポリープは周辺粘膜と同色調であり,表面平滑で,その基部に接して境界明瞭な白色調の微小領域を認めた。同病変に対し,局注を加えた摘除を施行した。組織学的には,過形成性ポリープの一部に黄色腫が併存していた。消化管の黄色腫は,胃については多く報告されているが,大腸での報告は少ない。また黄色腫と過形成性ポリープは同一分節で合併して認められた例の報告はあるが,過形成性ポリープ内に併存した症例はまれと思われ,文献的考察も加え報告した。