消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
血液透析患者の消化性潰瘍に対するプロトンポンプ阻害剤の治療効果
五十嵐 良典中村 良一矢島 治夫菊池 良知柳沢 美光山本 多カ也長谷 弘記酒井 義浩
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1993 年 42 巻 p. 74-76

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抄録

 1991年6月から1992年5月までに,日産厚生会玉川病院で血液透析を施行している患者で,上部消化管内視鏡を行い,活動性の消化性潰瘍を認めた8例(男性6例,女性2例,平均年齢63歳。胃潰瘍4例,十二指腸潰瘍4例)に,上部消化管内視鏡で潰瘍を確認した日より,オメプラゾール(オメプラール®)20mgを1日1回早朝に投与した。全8例で自他覚症状の改善を認め,内視鏡的に経過観察が可能であった3例では,約1ヵ月後に瘢痕を確認した。全8例とも特に副作用の発現を認めなかった。血漿中濃度を測定した3例においては,透析後は透析前の約10%かそれ以下であった。血中ガストリン値を測定した3例では,いずれも健常人に比して高値であり,そのうち2例では投与後さらに上昇を認めた。オメプラゾールは慢性腎不全例においても健常人と何ら変わることなく投与でき,十分な治療効果が得られると考えられた。

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© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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