1993 年 42 巻 p. 81-85
胃癌の深達度評価における超音波内視鏡は,内視鏡的治療の普及に伴い重要性を増している。常用内視鏡の鉗子孔より挿入可能な超音波マイクロプローブ(先端径2.4mm)による,早期胃癌の深達度評価における有用性について検討した。対象は組織学的検討が可能な早期胃癌5病変と,対照としたⅡc類似進行癌1例である。従来機種の超音波内視鏡では描出しえなかった微小Ⅱc病変を,内視鏡観察下で的確に走査し,高周波を用いて詳細に描写できた。病巣内に潰瘍を伴ったⅡaおよびⅡa+Ⅱcでは,瘢痕線維組織のため深達度を深く判断していた。丈の高い比較的大きなⅠ型では,音波減衰のため,また範囲が広く深いⅡc類似進行癌では,音波減衰やマイクロプローブの描写範囲が狭いこともあり,病変全体をくまなく描写することが容易でなかったため,最深部の描出は困難であった。表在性の比較的小さな病変では鮮明な超音波像が得られ,良い適応と考えられたが,潰瘍合併,超音波減衰,広い病変に対する走査に限界があり,微小浸潤などの問題点が今後の課題と考えられた。超音波マイクロプローブは適応病変や描出能を踏まえたうえで用いれば,早期胃癌の深達度診断において非常に有用な機器であると考えられた。