消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
4年5ヵ月経過観察後,直視下生検により診断された十二指腸カルチノイドの1例
木下 知子加々美 明彦臼井 俊朗田中 祥博望月 正武二階堂 孝高橋 宣胖
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1993 年 43 巻 p. 196-199

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抄録

 症例は39歳男性。心窩部不快感を主訴に1988年当科を受診した。上部消化管造影で十二指腸球部に半球状の隆起性病変を認め,上部消化管内視鏡検査を施行し,十二指腸球部後壁に径6mmの粘膜下腫瘍様病変を認めたが,3年後の内視鏡検査までは著変を認めなかった。4年5ヵ月後の内視鏡検査では,明らかな腫瘍径の増大(径8mm),隆起の立ち上がりの急峻化が認められた。この時の直視下生検でカルチノイドと診断された。十二指腸部分切除術が施行され,粘膜下層に高度の浸潤が認められた。免疫組織学的検索ではLeu 7,Chg A,NSEが陽性,内分泌学的にガストリンに強陽性,インスリン,ソマトスタチンに弱陽性を示した。4年以上にわたり,カルチノイドの形態的変化が内視鏡的に観察された症例は1例報告されているのみであり,しかも直視下生検で診断しえた症例は,自験例も含め22症例と少なく,文献的考察を加え報告した。

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© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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