症例は68歳女性。数年来の眼球乾燥感および断続的な血便にて入院した。Schirmer's test,Rosebengal test,唾液腺造影,口唇生検よりSjögren症候群と確診,ツ反陰性,血清免疫グロブリン高値,末梢血リンパ球CD4/CD8低下など免疫異常所見がみられた。注腸検査では直腸に散在した小透亮像がみられ,大腸内視鏡検査では直腸に1mm以下の小びらんが散在していた。組織学的には,著明な炎症細胞浸潤,間質の浮腫を伴ったびらんが確認された。対症療法のみで症状は改善し,6ヵ月後の内視鏡再検査ではびらんは消失していた。色素散布では小陥凹がみられ,組織学的に慢性炎症細胞浸潤とともにリンパ濾胞形成が認められた。腸粘膜の免疫組織化学的検討でリンパ球のCD4/CD8低下,IgA含有細胞増加がみられた。本症候群での大腸病変の報告は極めてまれで,局所免疫異常を伴った興味深い症例と考えられた。