1995 年 46 巻 p. 59-61
留置スネアは,1989年に蜂巣らにより考案された経内視鏡的結紮装置である。大型の隆起性病変切除の際,出血予防として非常に有用であり,種々の止血処置具としても利用価値が高い。1992年より当科では,大型の胃隆起性病変6症例(過形成ポリープ5例,腺腫1例)に対し内視鏡的切除に留置スネアを使用した。最大径の平均は24mmで,5例は出血予防結紮,1例は止血結紮目的に使用した。留置スネアの後出血予防に対する効果は全例に対して認められた。切除後断端出血に用いた1例では止血に著効した。特に使用に伴う合併症は認めなかった。1例は切除後に脱落を認め,クリップの追加止血を行った。胃ポリペクトミーに伴う偶発症の中で出血が最も多いとされている。特に大型のポリープでは,後出血を考慮する必要がある。留置スネアは安全にポリペクトミーを行う処置具として有用であり,今後適応例には積極的使用が望ましいと思われた。