1995 年 46 巻 p. 65-68
食道異所性皮脂腺は極めてまれとされているが,当院で経験した10例について検討した。平均年齢は61.9歳で,性比は7 : 3と男性優位であった。占居部位ではⅠmが高頻度であり,また7例(70%)が多発性病変であった。大きさは最大径1mm未満のものが5例と半数を占め,また5mm以上のものも2例認められた。内視鏡的には黄色調を帯びた白色隆起として認められ,比較的大きなものでは胃黄色腫様の像を呈すが,1mm未満のものでは微小な黄白色斑として認められた。ヨード染色では境界がやや不明瞭な不染,もしくは淡染像を示した。また今回,食道異所性皮脂腺の有無を注意深く検索した2カ月間の通常内視鏡検査774例中6例(0.8%)に発見されており,食道異所性皮脂腺は“極めてまれなもの”ではないことが示唆された。