消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
類天疱瘡に合併した出血性食道潰瘍の1例
粉川 敦史山本 和夫前田 純江古河 哲哉山村 晴男池内 孝夫
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キーワード: 食道潰瘍, 類天疱瘡
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1998 年 51 巻 p. 81-84

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抄録

 症例は61歳女性。糖尿病にて当院通院中であり,以前より口腔内のびらんを認めていた。平成8年9月から胸やけ,前胸部痛が持続し,平成9年1月吐血を認めたため当院入院。食道内視鏡検査にて,食道入口部から食道胃粘膜接合部にわたり,出血を伴う潰瘍性病変が連続性に認められた。また口腔内には潰瘍,びらん,水疱が多発していた。入院後,絶食,H2受容体拮抗剤を投与したが食道病変は改善せず,その後体幹や四肢に水疱が出現し,肛囲には多発するびらんを認めた。皮膚生検組織を用いた螢光抗体法直接法で,表皮真皮境界部にIgGとC3の沈着を認めて類天疱瘡と診断し,ステロイド大量療法を開始した。その後,口腔内病変,皮膚病変はともに改善し,ステロイド投与8週間後の内視鏡検査では,食道粘膜の出血性潰瘍は消失し,上皮化を認めた。類天疱瘡に伴う食道病変は非常にまれであり,文献的考察を加えて報告する。

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© 1998 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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