われわれは半導体レーザーを用いた食道静脈瘤治療法を考案し,基礎検討を行ってきた。今回再発食道静脈瘤の1例に対し,臨床応用を試みた。症例は64歳,肝癌合併肝硬変の男性。硬化療法6カ月後にF2RC(+)の食道静脈瘤が認められた。再治療初回は静脈瘤結紮術を施行し,血管径の縮小を図った。2回目は残存静脈瘤の周囲の粘膜下にICG溶液を注入した後,半導体レーザー(Olympus,Diomed 25)を用いて,出力10Wにて食道胃接合部から5cm口側まで全周性に照射した。治療1カ月後の内視鏡検査では静脈瘤は消失しており,超音波内視鏡でも粘膜・粘膜下層に血管像は認められなかった。経過中,食道狭窄などの合併症は認められなかった。本法は少ない治療回数で安全かつ確実に治療できる方法であり,臨床応用可能と考えられた。