消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
骨髄移植後の合併症の診断に大腸内視鏡検査が有用であった急性白血病の1例
山根 建樹古谷 徹中村 眞石井 隆幸島田 紀朋川村 忠夫小林 正之加藤 弘之増田 勝紀
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1999 年 54 巻 p. 69-72

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抄録

 急性リンパ性白血病のため同種骨髄移植療法を受けた19歳,男性が,移植後100日目より著明な下痢を呈し,再入院となった。大腸鏡検査で,直腸から回腸末端にかけて粘膜の顆粒状変化,発赤がみられ,生検による組織所見から急性graftversus-host diseaseと診断した。Steroidのpulse療法にて,下痢は一時消退したがふたたび増強し,大腸鏡を再検したところ,回盲部に発赤びらんが認められた。生検で核内に封入体を有する巨細胞がみられ,またcytomegalovirus(CMV)抗原血症検査でも陽性細胞の増加を認めたため,CMV腸炎の併発と診断した。その後,Ganciclovirの投与を行い症状の改善が得られたが,本例では治癒判定に際しては,CMV抗原血症検査に比べ内視鏡所見が有用であった。骨髄移植後の腸管病変が内視鏡的に観察され,かつ診断と治療方針の決定に内視鏡検査が不可欠であった興味深い症例と考えられた。

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© 1999 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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