1999 年 54 巻 p. 73-76
症例は54歳,男性。大腸癌検診の精密検査として実施された注腸造影検査で異常を指摘され,当院を受診した。腹部単純X線および腹部CTで右側結腸壁外に石灰化像が,注腸造影検査で盲腸から横行結腸にかけて結腸膨起の消失・壁硬化・一部に拇指圧痕様所見が,大腸内視鏡検査で同部に一致して青銅色を呈する粗造粘膜と散在する類円形の小潰瘍が認められた。潰瘍辺縁部より得られた生検組織では,粘膜固有層および粘膜下層の肥厚した血管壁にアミロイドに類似した硝子様物質の沈着がみられたが,コンゴ・レッド染色陰性であり,沈着物質は膠原線維と考えられた。以上より,静脈硬化症による虚血性病変と診断した。