抄録
本研究の目的は,口臭と臨床症状の関係について調査し,歯周基本治療による臨床所見と口臭の改善度の関係について検討することである。口臭測定器ブレストロン®を用い,日本大学松戸歯学部付属病院歯周科に通院中の軽度の慢性歯周炎患者87名を対象として臨床パラメーターと口臭の関係について検討を行った。歯周基本治療前後における臨床的改善度と口臭の改善度との関係について慢性歯周炎患者38名について検討した結果,以下の結論を得た。
(1)ブレストロン値を用いた口臭測定では,臨床パラメーターのうち,BOP,PCRとの関連性を認めた。舌苔の付着を認めた患者が少なかったため,舌苔と口臭との関連性は特定できなかった。
(2)歯周基本治療により口臭の減少を認め,その傾向は他の臨床所見の改善と一致していた。
(3)口臭の改善率は,PD, BOP,PCRの改善率と多くの部位で一致することを認めた。
ブレストロン®による口臭測定値を利用することにより口臭を臨床における動機付けを向上にもちいることは有用であることが示された。