2008 年 50 巻 2 号 p. 112-120
Er:YAGレーザーとPhenol-Alcohol法を用いてメラニン色素沈着除去を行い, 両術式による臨床的予後評価を歯科用色彩計を用いて経時的に比較検討した。また, 喫煙者と非喫煙者間のメラニン色素沈着除去後の予後についてもそれぞれ経時的に評価した。被験者は全身的疾患が認められず, 上顎前歯唇側歯肉にメラニン色素沈着を有するもので, 本研究に同意の得られた10名(喫煙者5名, 非喫煙者5名, 平均年齢23歳)を対象とした。喫煙者は1日約20本喫煙する者を被験者とした。メラニン色素沈着除去は上顎前歯部唇側歯肉を対象とした。右側歯肉をEr:YAGレーザー(HOYAフォトニクス社製)を用いて行い, 左側歯肉にはPhenol-Alcohol法を用いた。評価時期は術前, 術後1週, 術後2週, 術後1ヶ月, 術後2ヶ月, 術後3ヶ月, 術後6ヶ月, 術後12ヶ月とし, 術前からのL*, a*, b*値の色差(ΔE), L*値の色差(ΔL), a*値の色差(Δa), b*値の色差(Δb)をそれぞれ算出した。その結果, 喫煙群のフェノール群では6ヶ月から, レーザー群では3ヶ月からΔE, ΔLの低下を示し後戻りの傾向を認めた。また非喫煙群のレーザー群, フェノール群でも6ヶ月からΔE, ΔLの低下を示し後戻りの傾向を認めた。
日本歯周病学会会誌(日誌周誌)50(2) : 112-120, 2008