日本歯周病学会会誌
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症例報告
広汎型慢性歯周炎の治療に心理学的手法を取り入れた11年経過症例
山口 將日溝口 未可石山 沙織篠田 由香加藤 熈
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2020 年 62 巻 2 号 p. 107-120

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抄録

咬合性外傷を伴う歯周炎患者に心理学的手法を取り入れた歯周基本治療,エナメルマトリックスタンパク質(enamel matrix derivative:EMD)と自家骨移植併用再生療法を含む歯周外科治療,心理学的手法を取り入れたsupportive periodontal therapy(SPT)を行って11年経過した症例を報告する。

患者は55歳,女性で上顎前歯部の歯間離開を主訴に来院した。Bleeding on probing(BOP):97%,probing depth(PD):7 mm以上が9歯,上顎前歯に垂直性骨吸収が認められた。多くの歯に動揺が認められ,仕事中にくいしばる癖を自覚しており,炎症と咬合性外傷が合併した歯周炎と診断した。

治療は原因除去を重視し,歯周基本治療時に心理学的手法を取り入れ,尾谷が提唱する動機づけを行い,ブラキシズム対策に認知行動療法と職業関連ストレス軽減のカウンセリングを行った。再評価検査後,歯周外科治療,口腔機能回復治療を行い,ブラキシズム対策としてオクルーザルスプリントを装着するとともに,心理学的手法として池田が提唱する自己暗示療法を行った。SPT移行後も3か月ごとに心理学的手法の強化を図り11年間良好に経過している。

これらの結果から歯周治療への心理学的手法の導入は,患者の治療への意欲を向上させ,治療効果を高めるのに有効であると思われた。

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