1986 年 28 巻 2 号 p. 752-757
クマザサ原形質溶液が歯周疾患に対して効果があるか, また, 歯周治療に応用できるかどうかを検討した。
口腔内の環境因子である唾液内微生物において, その殺菌効果および乳酸生成抑制効果について調べた。臨床的には, 実験的歯肉炎および中等度歯周疾患においてプラーク付着状態, 歯肉溝滲出液量, 歯肉の炎症状態を診査し, また, 口腔内規格写真撮影によって観察測定した。
その結果, クマザサ原形質溶液の濃度が高くなるにつれて, 殺菌効果および唾液内微生物の乳酸生成抑制効果が認められた。含嗽または投与により, 実験的歯肉炎ではプラーク付着抑制には有意な効果はみられなかったが, 歯肉溝滲出液量の減少傾向および歯肉の炎症に対する阻止効果が認められた。