抄録
側方運動時における咬頭干渉領域の形態的観察を目的に, 画像解析装置を中心としたシステムを用い, 咬合接触面積 (OCA), 上下顎咬合面間距離 (LG1°) および咬合接触部位とその形態を測定した。被験者は, 側方運動時に作業側で咬頭干渉の認められない者10名 (健常者群) と作業側で咬頭干渉の認められる者10名 (患者群) とし, この両者を比較検討し, 以下の結論を得た。
1. 側方運動時の咬合接触状態は, 健常者群では犬歯誘導やグループ誘導が多く, 患者群では作業側の歯がすべて接触するタイプや不揃いに接触するタイプが多く認められた。
2. 側方運動に伴うOCAおよびLG1° の変化量は, 健常者群と比較して患者群では大きくなる傾向が認められた。
3. 側方運動に伴う左右側歯列のOCAおよびLG1° の左右差は, 健常者群と比較して患者群では大きくなる傾向が認められた。