抄録
ヒト正常歯肉由来線維芽細胞 (ATCC CRL 1292) を用いて, その機能に及ぼす13種のプロスタグランジンPG) の作用を広く調べた。本研究の実験条件では, PGA1およびPGD2は供試線維芽細胞の形態を変化させ, すべての被験PGは, 供試線維芽細胞の増殖, DNA合成, コラーゲン合成, および非コラーゲン蛋白合成を抑制する作用を有した。また, 多くの被験PGは, 細胞内サイクリックAMP (cAMP) レベルを上昇させる作用をも有した。そこで, 供試線維芽細胞のDNA合成抑制作用を調べる手がかりを, ホルモン作用の第2情報伝達物質の1つであるcAMPの代謝に求めて, PGE2による作用機序を調べた。
PGE2による細胞内cAMPレベルの上昇をcAMP分解酵素阻害剤で増強しても, PGE2による供試線維芽細胞のDNA合成抑制作用は強くならなかった。さらに, プロテインキナーゼ阻害剤でcAMP依存性蛋白リン酸化酵素 (Aキナーゼ) を阻害しても, PGE2による供試線維芽細胞のDNA合成抑制作用は弱くならなかった。このことから, PGE2による供試線維芽細胞のDNA合成抑制作用は, cAMP-Aキナーゼ系を介さないことが示唆された。