抄録
T細胞の歯周病病態への役割を考察することを目的に, 歯周病患者48名を含む被験者72名の末梢血を用いて単核球サブセットの割合, およびT細胞機能を調べた。結果は, いずれも個体差が大きく歯周病の臨床所見や病型とは相関し難いというものであったが, CD3分子への刺激でinterleukin-2 (IL-2) 産生能が亢進あるいは低下した被験者4名が検出された。これら被験者についてIL-2産生能の発現様式を細胞内シグナル転送の点から調べた。その結果, 1名の被験者にみられたIL-2産生能亢進に細胞内Ca2+濃度の上昇に関わる過程が関与し, 被験者3名のIL-2産生能低下にはこの過程は関与しないことが示唆された。なお, 以上の4名のうち3名は若年性歯周炎患者であり, 残る1名はこの中のある患者の妹であった。以上から歯周病の発症と進行の様式は多様で, それらの様式は個体レベルで明確にされなけれぼならないことがうかがわれた。