日本歯周病学会会誌
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実験的咬合性外傷が骨接合型インプラントの周囲組織に及ぼす影響: 第一報
宮田 隆杉杉本 博宣小林 之直申 基テツ荒木 久生市村 光大塚 秀春須藤 洋太郎池田 克已
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1997 年 39 巻 1 号 p. 77-85

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抄録

インプラント周囲に炎症がない状態において実験的な咬合性外傷を, 骨接合型インプラントに負荷した場合のインプラント周囲組織の変化を検討した。実験動物として5頭のカニクイザル (Macaca Fascicularis) に, Friatec社から提供を受けた実験用骨接合型インプラントを埋入し, 約3ヵ月の骨接合期間を経たのち, 約100μmの過高な上部構造を装着し, 舌側から頬側へ実験的な外傷性咬合力を, それぞれ1週間から4週間負荷した。負荷期間終了後, ただちに屠殺し, 通法に従い, 灌流固定標本を作製し, インプラント周囲組織を病理組織学的に検討した。その結果, 1週~4週間外傷性咬合力を負荷したおのおののモデルにおいて, 外傷力の影響と思われるような骨吸収などは認められず, おおむね良好な骨接合が認められた。また, 3, 4週間経過モデルでは, インプラント周囲組織の歯冠側の骨や頬側外側骨膜下の周囲に旺盛な骨の新生が認められた。このような結果から, インプラント周囲組織に炎症のない環境下での, 約100μm程度の過高な咬合負荷では, その周囲組織の破壊という機転は惹起されにくく, むしろ外傷力に対する代償性の骨添加が起こる可能性が示唆された。

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