日本歯周病学会会誌
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歯周疾患関連細菌に対する生薬の抗菌効果
元村 洋一荒木 久生申 基テツ宮田 隆
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キーワード: 生薬, 抗菌作用, 黄連, berberine
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1997 年 39 巻 1 号 p. 72-76

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抄録

本研究の目的は, 中医薬に用いられる生薬の抗菌効果が, 成人性歯周炎の局所治療に有効であるかどうかを検討することである。これまで, 生薬の抗菌効果については, 黄色ブドウ球菌などごく一部の細菌に対してのみ検討されてきた。したがって, 歯周病関連細菌などに対する生薬の抗菌効果を検討した報告はほとんどなされていない。そこで, 炎症性患者に適応されている中医薬の処方中の構成生薬より, 10種類の生薬を選択し, 抗生剤の抗菌効果の判定の標準法として用いられている微量液体培地法による抗菌効果を検討したところ, 黄連, 黄苓, 黄柏は他の生薬として比較して, 培地中の生薬濃度1mg/mlで明らかな抗菌効果を示した。
本報告ではさらに, それら生薬の抗菌活性の背景をberberineに求め, 今回は上に黄連抽出液を薄層クロマトグラフィーによって分画し, 各分画の抗菌活性を測定したところberberine, coptisineに相当する分画の抽出液の抗菌活性を認めた。
これらの結果より, 従来から中医学において「清熱剤」として用いられてきた抗炎症剤の構成生薬に, 抗菌活性が認められることが示唆された。

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