日本歯周病学会会誌
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垂直性骨欠損形態の診断におけるCTの有用性の検討
岩原 弘一菅谷 勉加藤 ヒロシ小平澤 英男
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1997 年 39 巻 4 号 p. 513-519

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抄録
歯周治療における垂直性骨欠損の診断に, computed tomography (CT) 像を画像処理したCT3次元立体構築像が有用ではないかと考え, 歯周炎患者の垂直性骨欠損形態の診断におけるCTの有用性を検討した。
被験者は垂直性骨欠損を有する歯周炎患者5名とし, 被験部位はフラップ手術時に撮影した口腔内写真で垂直性骨欠損形態を確認できた38歯面とした。骨欠損の診断は, 手術を行った歯科医師を除いた歯科医師10名が, CT3次元立体構築像 (CT法), デンタルX線写真のみ (D法), デンタルX線写真とポケットプロービングを併用する方法 (D+P法) の3つの診断方法を用いて行った。診断項目は, 頬舌側面の垂直性骨欠損と隣接面の垂直性骨欠損および隣接面の垂直性骨欠損における頬側壁と舌側壁の有無とした。診断精度の評価には受信者動作特性 (ROC) 解析を用いた。その結果, CT法の診断精度は, 頬舌側面の垂直性骨欠損では, D法に比較して有意に高く, D+P法とは差がなかった。一方隣接面の垂直性骨欠損の有無の判定では, CT法の診断精度は, D法とD+P法とほぼ同等であったが, 垂直性骨欠損の頬側壁と舌側壁の診断では, CT法の診断精度は他の2法よりも有意に高かった。以上の結果から, CT3次元立体構築像は, 歯槽骨の垂直性骨欠損形態の診断に有用性が高いと思われた。
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