日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
Er: YAGレーザーによるメラニン色素の除去効果に関する臨床的研究
松田 哲遠藤 学元村 洋一大音 孝一荒木 久生
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 44 巻 1 号 p. 82-87

詳細
抄録
近年, レーザー治療が歯科領域でも広く用いられるようになり, 口腔粘膜のメラニン色素沈着の除去もその適応となってきた。そこで今回, 歯科用レーザーによるメラニン色素沈着の除去効果を評価する目的でEr: YAGレーザー法 (以下Er-L法) と, 従来からのPhenol-Alcohol法 (以下PA法) の2方法を同一口腔内で同時に施術し, 双方のメラニン色素の沈着除去効果を経時的に比較検討した。
被験者は, 本研究の目的を十分理解し, 研究に同意が得られた, 年齢階級26~33歳, (平均年齢28±2.5歳) の男性5名である。被験部位は, 上顎前歯部とし, 右側にEr-L法, 左側にPA法を施術した。
Er-L法の装置にはEr: YAGレーザー・アーウィン (モリタ社, 東京) を使用した。術式はメーカーの指示Er: YAGレーザーによるメラ. ニン色素の除去 83に従った。PA法は, 通法に従い90% Phenolを小綿球で塗布して30秒放置後, 99% Alcoholで30秒間中和し十分水洗した。臨床写真をパーソナルコンピュータ上で256譜調の白黒のデジタルデーターに変換した。メラニン色素除去効果は, 黒化度を指標に, 術前, 術後2週, 術後24週に評価した。
結果, Er-L法は, 歯肉のメラニン色素沈着の改善効果が認められるもののPA法と比較して, その効果が著明ではなかった。したがって, メラニン色素沈着除去におけるEr-L法の応用についてはその術式について, 今後検討が必要と思われる。
著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本歯周病学会
前の記事
feedback
Top