本研究では,青年期の恋愛関係の形成・維持プロセスを,恋愛関係への動機づけと現在の恋人に対する信頼感および親密性との関連から検討した。大学生509名のうち,現在恋人がいると回答した185名を対象に質問紙調査を実施した。第一に,探索的因子分析の結果,恋愛関係への動機づけ尺度は「内的調整」「同一化」「取り入れ」「外的調整」の4因子,恋人に対する信頼感尺度は「役割遂行評価」「安心感」「不信」「付き合いづらさ」の4因子が抽出された。第二に,各変数の関連では男女とも「内的調整」が「安心感」を媒介し,「親密性」を高めていた。この結果から,親密性という自我発達にとっては,ただ恋愛関係を形成・維持すれば良いのではなく,恋愛関係への自律的動機づけや現在の恋人に対する安心感が重要であることが示唆された。また,各変数の関連の様相には性差が認められることも明らかになった。