小中学校の理科や算数の教科書を調べてみておどろいたことは,初等的な力学概念や数学概念を指導するときに登場するシーソー教具(シーソーの模型)で,教科書などに例示されているものはすべて,児童・生徒にとって非常に扱いにくい,きわめて不安定なつりあいになるものばかりであったということである.つりあいの体験や理解は,初等教育上きわめて重要なものであると考えるものであるが,その指導に使われる教具が,こんな不安定なものであってよいのだろうか.そこで,教具として役立つシーソーの設計を行なってみたのであるが,その中には単なる教具の製作ということだけでなく,高校や大学の一般物理教育の上で十分話題となり得る事がらを含んでいることも分った.今日,物理教育も大衆化し,そのためのさまざまな工夫がなされているのであるが,身近かな遊具の設計もその一つの方途ともなり得るのではないかと考え,あえて投稿した次第である.