伏在静脈の弁不全が下肢の皮膚温に及ぼす影響を検討した.片側または両側の大伏在静脈の弁不全のある下肢静脈瘤患者18例28肢を対象とした.サーモグラフィー(NEC三栄TH3106ME)を使用し,室温(23~25℃)で安定した状態で患者を立位とし,下肢の前面および後面の皮膚温を測定した.次に,患者を臥位にして下肢を挙上し,大腿部を駆血した後に再度立位として約5分後に皮膚温を測定した.28肢全体の比較では最高皮膚温は駆血しない場合35.22±0.69℃,駆血した場合34.83±0.76℃で,有意に駆血することにより最高皮膚温が低下することが分かった(p=0.0001).
下肢静脈瘤における下肢皮膚温の上昇に微小な動静脈瘻の存在や不全穿通枝の関与を指摘する意見もあるが,今回の検討により,伏在静脈の弁不全による静脈血の逆流もある程度は皮膚温の上昇に関連している可能性が示唆された.