静脈学
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症例報告
下大静脈フィルター長期留置後に抗凝固療法中断を契機に総腸骨静脈破裂をきたした1 例
中村 浩彰角谷 誠寺尾 侑也伴 親徳開發 謙次七星 雅一清水 宏紀大西 祥男
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 25 巻 1 号 p. 48-52

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抄録
要約:症例は83 歳,女性.10 年前に肺塞栓症,深部静脈血栓症に対して,永久型下大静脈フィルター(Greenfield)を留置された.以後,ワルファリン内服を継続していたが,3 カ月前より自己中断した.1 週間前,農作業後に腰痛が出現.その後,意識障害となり,救急搬送された.来院時,プレショック状態,貧血であった.CT で右後腹膜血腫あり.下大静脈フィルターより末梢に血栓が確認された.大量輸液,輸血を行うも,出血性ショックとなり,永眠された.病理解剖では,下大静脈フィルターに血栓が充満.右腸骨静脈破裂部から後腹膜・腹腔内に出血していた.大量血栓が生じ,腸骨静脈の脆弱性も相まって破裂したと考えられた.後腹膜血腫を発症した報告は散見されるが,いずれも軽症である.出血性ショックから死亡に至った稀な症例を経験したため,文献的考察を含めて報告する.
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