2021 年 32 巻 3 号 p. 359-365
【はじめに】下肢静脈瘤に対する血管内塞栓術において標準的に行われる手法では治療区間の中枢側に未治療区間(スタンプ)が長く残ることが明らかになっている.それに対し,エコープローブを血管に対して長軸方向に使用することでスタンプ長を短縮する方法(スロープ法)を開発した.【対象と方法】対象は当施設で2020年9月より2021年3月に大伏在静脈に対してスロープ法を用いた血管内塞栓術を行った39人(56肢)で,治療から2–3カ月後に超音波検査でスタンプ長を測定した.【結果】全例において大伏在静脈は閉塞し,27%で大伏在静脈内に限局した一時的な血栓を,9%で塞栓部位に沿った炎症反応を認めたが,いずれも2カ月以内に軽快した.スタンプ長は14.1±7.7 mmであった.【結語】スロープ法を用いるとスタンプ長を短くすることが可能となり,スロープ法に起因する合併症は生じなかった.標準的な治療法で経験を積んだ医師がより治療精度を高めるために有用だと考える.