静脈学
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症例報告
肺血栓塞栓症を合併した多発深部静脈血栓症の1例
中田 悠希井上 卓哉佐戸川 弘之籠島 彰人管野 隆三
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2024 年 35 巻 1 号 p. 41-44

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抄録

肺がん術後に,上肢の深部静脈血栓症(DVT)による急性肺血栓塞栓症(PTE)を生じ,同時に下肢DVTも合併した症例を経験した.症例は83歳男性,左上葉肺がんの診断にて左上葉切除術が施行した.周術期は血栓予防対策として弾性ストッキングの着用や術中の間欠的空気圧迫法を行った.術翌日よりリハビリを開始し術後経過は良好であったが,術後15日に突然の失神発作をきたした.造影CTにて右肺動脈末梢に軽度のPTEを認めた.術前から左腕頭静脈の狭窄を認めていたが,左内頸静脈,左鎖骨下静脈が血栓閉塞していた.静脈エコーでは,左下腿のヒラメ筋静脈に低~等輝度の血栓の充満を認めた.多発性DVTによる非広範型PTEと診断し未分画ヘパリン,その後リバーロキサバンによる抗凝固療法を実施し状態は改善した.左肺上葉切除後の上・下肢の多発性DVTの発生によるPTEは極めてまれと考えられたため文献的考察を加え報告する.

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