順天堂医学
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原著
脳血栓患者の抗血小板療法における血小板凝集能測定について
小宮 忠利工藤 学卜部 貴夫水野 美邦
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1993 年 39 巻 1 号 p. 65-72

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抄録
抗血小板療法はTIA・脳血栓や虚血性心疾患の予防療法として一般的なものになっている. 一方, 抗血小板薬の薬効を判定するには血小板の凝集機能測定が有用であるが, 薬剤の種類に応じた測定条件の設定が必要である. そこで, アスピリン81mg/日・チクロピジン100mg/日・200mg/日を服薬した脳血栓患者を対象に, 比濁法による血小板凝集能の測定を実施し以下の結果を得た. 1) アスピリンの効果判定には凝集惹起剤としてコラーゲン2μg/ml (終濃度) による最大凝集率または5分後凝集率, チクロピジンの効果判定にはADP2μM (終濃度) による最大凝集率測定が適している. 2) アスピリン81mg/日による治療域はコラーゲン2μg/mlによる最大凝集率または5分後凝集率が60%以下, チクロピジン200mg/日による治療域はADP2μMによる最大凝集率が60%以下である. 3) 最大凝集率は5分後凝集率より測定時間が短いため, 一般的には最大凝集率の測定が有用である. 抗血小板薬投与を行っても血小板凝集能が十分抑制されない場合, 非服薬 (ノンコンプライアンス), 薬用量不足, 吸収や代謝障害を考慮しなければならない.
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© 1993 順天堂医学会
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