順天堂医学
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原著
ストリキニン痙攣時における脊髄内要素の放電型について
石田 絢子田中 晴二
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1959 年 5 巻 2 号 p. 101-108

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抄録
1) ストリキニンを作用させて露出した蛙の脊髄に, 電解した銀線を微少毛細管に封じた電極を刺入して電位導出を行い, ストリキニン痙攣リズム形成に関する機序について考按を行つた. 2) 電極を刺入する際の機械的刺激等によつて起る単一の脊髄内単位の活動によつては痙攣リズムは形成されない. 3) 脊髄内単位についてみれば筋電図で分析した休止期に相当する期間に放電する単位も認められるから, ストリキニン痙攣時に脊髄内の全単位が同期的に興奮しているということは出来ない.もっとも同期的興奮する単位は非常に多い. 4) 脊髄内2部位より同時誘導しても互に同期する単位と, 同期しない単位とがあることが証明された. 5) 種々の状態における各脊髄内単位の放電頻度について概観するに, ストリキニン作用下における単位の放電はストリキニン作用なしの場合よりも高頻度である.又ストリキニン痙攣中の放電は電極刺入等による単一単位の放電頻度 (100c/sec) より高頻度 (140c/sec) である. 6) 以上の実験結果よりストリキニン痙攣の経過は脊髄内に少くとも2つの互に同期的に働かない細胞群があつて, 運動神経細胞に対して一は興奮的に, 他は抑制的に作用する事によつて作られると考へて説明される. 又そのリズムは両群の相互作用によつて形成されるものであつて, 1つの単位だけのリズム又は頻度とは全く異るものであることを証明した. 稿を終るに臨み有益なる御助言を賜り, 御校閲をいたたゞいた真島英信教授に深く感謝致します. 又組織標本作成に当つては順天堂大学体育学部岡田, 土屋両氏の御助力をいたゞきました.こゞに併せて感謝の意を表します.
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© 1959 順天堂医学会
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