順天堂医学
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特集 第325回順天堂医学会学術集会
小児期慢性腸疾患の病態と免疫
大塚 宜一
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2011 年 57 巻 4 号 p. 351-359

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抄録

クローン病 (CD) と潰瘍性大腸炎 (UC) は, 小児期から思春期において年々増加傾向を示している慢性炎症性腸疾患である. 下痢, 下血, 腹痛が代表的な症状であるが, 小児期では成長障害も重要な問題となる. また, 小児には重症例が多いとされるが, その詳細はいまだ不明である. われわれは, 小児期発症のCD, UCの初発活動期と寛解期の粘膜組織を利用しmicroarrayを用い, そのシグナル伝達分子の発現を網羅的に比較検討した. その結果, 小児期CDおよびUCの活動期粘膜ではIFN-γ, IL-6, IL-8, STAT4, GATA3, CCR7, CXCL13などの発現が亢進していた. その他, CDではCXCL10, CXCL9, CXCL11などの, また, UCではMMP7, MMP3, MMP10などの発現が亢進しており粘膜障害とのかかわりが示唆された. 炎症性シグナル分子の発現から, 小児期炎症性腸疾患においても成人で認められるような疾患特異性が認められた. 一方, CXCL10, CXCL9, CXCL11, CXCL13などは消化管のリンパ組織の発達に重要な小児期に特徴的な分子であり, それらの発現の亢進が小児期炎症性腸疾患の増悪因子である可能性が示唆された. われわれは, ProbioticsやDHAなどの多価不飽和脂肪酸に, 前述のケモカインの発現を抑える作用があることを確認している. ProbioticsやDHAなどを用い小児期の栄養管理を行うことが, 炎症性腸疾患の維持療法の強化および発症予防に有効である可能性が示唆された.

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