1996 年 13 巻 2 号 p. 153-160
ヒガンバナ科とユリ科に属する7種の植物のウイルス保毒球根を供試し, りん葉の in vitro 培養による子球形成とウイルス除去効果について検討した. 得られた1次子球からのキュウリモザイクウイルス (CMV) の除去率は Lycoris squamigera など5種の植物では90~100%と高率であった. しかし, Lilium longiflorum (15.4%) Narcissus jonquilla (5.4%) ではCMV除去効果はほとんど認められず, ひも状ウイルスの除去率もいずれの植物でも0%~67.6%と低かった. 子球の大きさ別の保毒検定では子球径が小さいほど除去率が高まる傾向が認められた. 保毒1次子球の2次培養ではウイルス除去率は植物の種類により異なり, L. longiflorum ではCMV除去率は80%に増加した. さらに, DHT (2,4-Dioxohexahydro-1,3,5-triazine) 0.1%添加培地で2次培養を行った場合, ひも状ウイルスに対しては効果は認められなかったが, CMV除去率はN. jonquilla で60%, L. longiflorum で93.3%とさらに高まった.