PLANT MORPHOLOGY
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学会賞受賞者ミニレビュー
精細胞の動態から迫る重複受精機構
浜村 有希
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2012 年 24 巻 1 号 p. 97-103

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抄録

重複受精は被子植物に特徴的な生殖機構であり,農業的にも意義があるだけでなく生物学的にも大変興味深い現象である.1つの花粉に2つある精細胞のうち一方が卵細胞と受精して胚となり,もう一方が卵細胞の隣にある中央細胞と受精して胚の栄養器官となる胚乳を形成する.これまで重複受精過程の精細胞の動態は捉えられておらず,どのような経路をたどって受精していくのか,なぜ2つの精細胞が別々の受精相手に受精できるのかという,根本的な疑問が解決されていない.この10年間のライブイメージング技術の発達により,これまで謎に包まれていた重複受精過程の精細胞の動きが明らかにされた.本総説では,精細胞の動態に着目したライブイメージング解析と分子遺伝学的解析を組み合わせて花粉管の内容物放出から配偶体の融合までの重複受精過程について述べたい.

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© 2012 日本植物形態学会
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