2017 年 29 巻 1 号 p. 53-56
トレボウキシア藻綱に属する単細胞藻類であるPseudochoricystis ellipsoidea(MBIC11204, NBRC112353)は,窒素栄養欠乏条件下でトリアシルグリセロール(TAG)を多量に蓄積するため,石油に代わるエネルギー源として有望視され,実用化に向けた大量培養や,油脂抽出の技術開発が行われている.P. ellipsoideaの近縁種は同じようにTAGを貯蔵する性質を有している.窒素欠乏条件下で合成されたTAGは細胞内の油滴と呼ばれる構造体に蓄積される.TAGの蓄積時に油滴サイズの増大が観察される.このようなバイオ燃料の生産源として屋外開放系で藻類の培養を行う場合,周辺環境への影響評価を行い,安全性を確認することが必要である.P. ellipsoideaが周辺環境に流出した場合,その環境における硝酸性窒素の濃度によってP. ellipsoidea増殖速度に影響が出ることが確認されている.また,バイオエアロゾルとしての周辺環境への飛散の予測も必要と考えられる.