PLANT MORPHOLOGY
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特集 光によって拓く植物細胞内の真の構造機能
光 - 電子相関顕微鏡法とアレイトモグラフィー法を組み合わせて蛍光を放つオルガネラを電顕で捉える
武田 - 神谷 紀子後藤 友美佐藤 繭子豊岡 公徳
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2022 年 34 巻 1 号 p. 15-23

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抄録

光 - 電子相関顕微鏡法 (CLEM) は, 同一試料・同一箇所を光学顕微鏡(光顕)と電子顕微鏡(電顕)を用いて観察し, 両顕微鏡により得られた像の相関を得る解析法である. 試料調製に様々な工夫を施すことにより, 蛍光標識した細胞内小器官(オルガネラ)の蛍光像を光顕で撮像し, その同一撮影箇所を走査電顕または透過電顕で観察することにより,精細な微細構造の取得が可能となる. 植物試料を用いてCLEM 解析する場合, 組織や培養細胞はガラス基板に非接着で細胞が大きいため, 動物組織・接着細胞と同様なCLEM 解析は困難である. そこで, 超薄切片を用いた連続切片撮像電顕法(アレイトモグラフィー法)とCLEM を組み合わせ, 植物細胞内における蛍光標識したオルガネラを同定し, 3 次元 (3D) 再構築を目指した. 特に近年, 四酸化オスミウム (Os) 固定とエポキシ樹脂包埋に耐性を持つ蛍光タンパク質(Os エポキシ耐性蛍光タンパク質)が報告されており, これらの蛍光タグの植物試料への応用を試みた. 本稿では, Os エポキシ耐性蛍光タンパク質標識したオルガネラをCLEM 解析するための試料調製法, 相関像を得るための工夫などを紹介するとともに, アレイトモグラフィー法を組み合わせた3D 相関解析法を紹介する.

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© 2022 日本植物形態学会
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