2022 年 34 巻 1 号 p. 5-13
真核生物の分泌輸送経路において,小胞体から出発した積み荷は最初にゴルジ体へと運ばれる.この際の小胞体- ゴルジ体間輸送に関わる膜区画の形態や時空間的ダイナミクスは,ゴルジ体そのものの構造の違いのため,生物種や細胞種によって一見大きく異なっている.しかし,植物細胞での解析から得られた結果を他の生物と突き合わせることで,見た目の違いはあっても真核生物全体に共通した性質・役割を持つ区画の存在が浮かんでくる.本稿では,小胞体とゴルジ体の境界ではたらく膜構造について,植物での知見を中心に紹介しながら他の生物種と比較し,相違点・共通点を考察する.