2024 年 36 巻 1 号 p. 1-3
多細胞生物の体は,様々な種類の細胞が三次元的に適切な配置をとることで形成される.生物における極性とは,特定の軸に沿った構造の配置,物質の偏りや成長の方向性など,ある方向に沿って何らかの差異を持つことであり,多細胞生物の体作りや維持・再構成において不可欠な要素である. 本特集では,個体レベルの体軸から細胞レベルの分子局在まで様々なスケールで表れる極性について,多様な系統群から検討を行い,系統の垣根を超えた一般性や植物ならではの特徴を見出すことを目指した.これにより,極性形成の規則性・不規則性と進化の関係,固着生物特有の形質の進化など,植物をはじめとする多細胞生物の発生・進化について新たな視点をもたらすことができると期待している.